日本語紹介(2014アップデート)
由来と目的
アジア各国は、信仰や民情の関係により、臓器贈与の比率は欧米諸国と比べてはるかに低く、患者は予期できる待機時間内に移植手術を受けることができません。そのため、アジアの患者の多くは中国、パキスタン、フィリピンなどに渡航して、臓器移植の手術を受けます。
臓器移植の需給バランスが極端に取れていない、そのような状況の下で、根深い社会的道徳問題が次第に浮き彫りになってきました。闇市場での臓器売買、臓器移植ツアー、臓器の仲介、ならびに死刑囚や良心の囚人から本人の意思に反して臓器を収奪する問題などが、次第に国際社会で注目されるようになってきたのです。
2006年に、カナダの元アジア太平洋担当大臣、デービッド・キルガー氏と国際人権弁護士、デービッド・マタス氏が、独立調査による報告書を公表しました。中国では法輪功学習者から生きたまま臓器が摘出(摘出されることで死亡)され、その臓器が売買されている、すなわち臓器移植用の「ドナー」にされているという同報告は、世界を驚愕させました。
2006年、世界医学協会 (WMA) が更に声明を発表して、中国大陸の臓器売買および死刑囚に対する臓器収奪を公然と、厳しく非難しました。当協会もこの時期に台湾で創立され、政府に登録されました。当協会創立の主たる目的に、次の内容が含まれます。
「広範な民衆が情報を得る権利を護り、臓器移植の事前評価ができるように、各方面の情報を公開し、透明化させる。それによって、臓器移植を受ける人にリスクと安全性を正しく理解してもらい、タイムリーに患者被害者の権益を保障する。同時に人類の正義と良知を呼び覚まし、人権と生命の安全に対する系統的な迫害を、可及的速やかに阻止する」
組織の紹介
当協会の理事会メンバーの多くは医療に従事する人々です。
協会には医事法専門家委員会(Expert
Committee)が設けられており、臓器移植専門医ならびに法律の専門家の国際的な交流促進に力を入れているほか、台湾の臓器移植に関する立法および法律の改定を推進し、国際的な医学倫理の標準と国際的な立法の趨勢に符合するようにします。
協会の組織図は次の通りです。
活動の概況
台湾衛生福利部が提供する統計資料によると、台湾と中国との交流が日増しに頻繁になったことから、2000年~2011年の間に移植手術を受けた台湾の患者のうち、中国に行って臓器移植を受けた人数の割合は88パーセントに達しました。しかし2006年、移植医学会が台湾の臓器移植病院に対して行った調査によると、その割合は98パーセントに上昇しています。
つまり、台湾の患者と医師は、医療のリスクと道徳や法律のリスクを冒しているだけでなく、中国で強制的に臓器を摘出される死刑囚や良心の囚人の生命と健康を脅かしています。これは、医学倫理と国際人権の法律に違反する重大な問題なのです。
2012年末、この問題の真相に対する国内の民衆の理解が不十分なことから、当協会は各医学会の会議および台湾の各大都市で、関連する宣伝イベントを行いました。そしてワシントンDCで設立された「臓器の強制摘出に反対する医師団(DAFOH)」と協力して、反臓器狩りの署名活動を推進し、国内の医学界、法曹界と広範な民衆の絶大な反響を引き起こしたことによって、わずか1年足らずで5000人近い台湾の医師が署名・支援してくれました。
2013年2月~11月の期間に、当協会は台北、高雄、台南などの大都市で「国民が海外で臓器移植を受けるに当たっての医療安全及び国際立法の趨勢」というシンポジウムを数回開催しました。
シンポジウムでは、台湾、米国、カナダ、イスラエル、マレーシアの医療、法律分野の専門家を招いて、臓器移植が直面する医学倫理の問題ならびに、如何にして良いバランスを取るかについての検討がなされました。
また、自らの意思による臓器贈与を積極的に推奨することによって、臓器移植における需要と供給のアンバランスな状況を解決するとともに、人々の正義と良知を呼び覚まして、不当な臓器売買と仲介を防止しようとしました。
今後の展望
今年(2014年)1月から、当協会は、台湾国内の臓器贈与と、臓器移植ツアーを禁ずる法律策定を積極的に推進するとともに、各県市の衛生局と連携して、臓器移植に配慮する学者や専門家と各種講座の開催を計画しています。
また、国際医学専門家、学者、弁護士、人権関係者を招いて、公聴会に参加してもらい、広範に意見交換を行います。
さらには、医学倫理と人道に関する映像展、写真展、ブックフェア、絵画作品展と文学作品展を開くとともに、引き続き医学の国際関連組織と協力して、反臓器狩りの活動を推進します。